
【実家相続】うちは財産がないからが一番危ない理由
2025年07月12日 17:45
「うちは、相続でもめるような財産なんてないから…」
そう話していたのは、60代の主婦・田村さん(仮名)。
実家は古びた一軒家と、少しの預貯金だけ。兄妹3人の仲も悪くなく、「遺産でもめる人なんて、よっぽどお金持ちか、よほど欲深い人」と思っていたそうです。
でも──
母の死後、相続の話し合いが始まったとき、
長男の兄がこんな提案をしました。
「この家は、長男の俺が相続するよ」
それを聞いた妹は、すぐに反発しました。
「それなら、私はそのぶん現金でもらうわ」
でも、実際には現金なんてほとんど残っていなかったのです。
家を誰が相続するか、どう評価するか、現金に換算するにはいくらか…
そんな細かい話が噴き出し、話し合いはどんどん混乱していきます。
そして田村さんは、心の中でこう思っていました。
「一番母の面倒を見てきたのは私なのに…
思い出が詰まったこの家に住みたいのも、私なのに…」
兄と妹の板挟みになりながら、田村さんの心は乱れていきました。
気づけば、通じ合っていたはずの兄妹が、言葉を交わすたびにギスギスしていく。
「財産がないからこそ、“何で分けるか”が難しいんです」
弁護士に言われたその一言が、胸に突き刺さったそうです。
実は、こうした事例は珍しくありません。
裁判所の統計によると、遺産分割事件の75%が遺産総額5,000万円以下。
1,000万円以下だけでも、全体の約3割(32.1%)を占めています。
つまり──
相続でもめるのは「財産が多い家」ではなく、むしろ「少ない家」の方が多いということ。
なぜでしょうか?
たとえば資産が1億円あるなら、「現金で均等に分ける」ことができます。
でも、実家の家1軒しかない。現金はほぼゼロ。
そんなとき、「誰が住むのか?」「誰の名義にするのか?」「どうやって分けるのか?」と、“見えない問題”が噴き出すのです。
・住みたい人と、売りたい人で対立
・名義をもらった人が、あとから「貸して利益を得た」と責められる
・固定資産税の支払いをめぐってモメる
・家の管理や修繕をめぐって不満が蓄積する
相続とは、お金の話であると同時に、「感情の話」でもあります。
金額が少ないからこそ、「あのときの介護」「あのときの言葉」が、心の奥に引っかかったまま話し合いに出てきてしまう。
しかも、家という“目に見える財産”が残ると、分けにくく、こじれやすい。
田村さんの兄妹も、結局話し合いがこじれ、調停へ進みました。
「こんなはずじゃなかった」──
そう思ったときには、もう関係が壊れかけていたのです。
「うちは大丈夫」
その言葉ほど、何の備えにもなっていない。
大切なのは、「まだ何も起きていないうちに、準備すること」。
そして、「誰かに相談してみること」です。
相続に正解はありません。
でも、“後悔しない選択肢”を持つことはできます。
今すぐではなくても、今なら話せることがあるはずです。
もし、誰にも相談できずにモヤモヤしているなら──
第三者に、そっと話してみませんか?
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ひとりで抱えず、まずは気持ちを整理することから。
あなたの大切な家族関係を、守るために。